スクールニュース vol.299
編集部から 武雄市が学習者用デジタル教科書(教材)の実証実験を開始
10月3日、佐賀県武雄市が市内全小中学校でデジタル教科書の実証研究を始めると発表。ICT教育について協定を締結している東洋大学にてキックオフ説明会を行った。武雄市によると、市立の全小中学校に通う小学校4年生(11校)と中学校1年生(5校)の国語と算数・数学で従来の教科書と学習者用デジタル教科書(教材)を併用する。地方公共団体が、設置しているすべての学校を対象にした産官学の連携としては全国初の取組みになるという。
学習者用デジタル教科書(教材)は、平成32(2020)年度からの導入に向けた準備が進められており、この前日に開催された中央教育審議会でも、導入に向けた確認があったと会場でも説明された。こうした点も踏まえて、武雄市の小松政市長は「意義のある実証研究に参加させていたくことは光栄」と話す。研究主題は、「武雄市におけるICTを活用した教育の新たな取組〜学習者用デジタル教科書(教材)の可能性探る〜」。
使われる学習者用デジタル教科書(教材)は、国語が光村図書出版株式会社、算数と数学は株式会社新興出版社啓林館のもので、これは今年度武雄市が採用している教科書と同じ出版社のもの。つまり、教員は同じ内容で紙とデジタルのどちらがより効果的かを選択できることになる。
武雄市は、「スマイル学習」(武雄式反転授業)を実践する過程の中で、既に市立学校に通う全児童生徒にタブレット端末を配布し、1人ひとりが学校でも自宅でも「自分のもの」としてタブレットPCを活用してきた。今回の研究に取組む背景について、武雄市教育委員会の福田孝義ICT教育監は「指導者用のデジタル教科書は既に使っているが、提示した画面を子どもに配布、家庭で再現することが著作権の関係から現在はできない。それを学習者用のデジタル教科書の活用によってクリアしたかった」と話す。
実証研究の期間は10月から来年3月まで。2学期制をとっている武雄市の後期にあたる。11月9日には武雄小学校と北方小学校で授業公開を行う予定で、来年2月頃に2回目の授業公開、3月には成果発表会を予定している。成果検証を行う東洋大学現代社会総合研究所の松原聡代表(同大副学長)は「紙の教科書と併用することでの机の使い方など、指導に関わる内容以外の運用面でも確認しなければならい点は多い」とこれからへの期待を話してくれた。
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