スクールニュース vol.577
感染症の予防と湿度の関係
思った通り、オリンピック開催とあわせて新型コロナウイルス感染症の第5波が拡大している。そこで、今回のスクールニュースは、教室環境の重要課題の1つでもある「湿度と感染」について、スクールアメニティ8月号特別寄稿から抜粋した。
そもそも湿度とは
湿度は、空気中に含まれている水分(水蒸気)の量を表す尺度であり、簡単に言えば「どれだけ空気に水分が含まれているか」を表している。そして湿度には「相対湿度」と「絶対湿度」の2種類がある。
「相対湿度」はある空気中の水蒸気量と、その空気が含むことのできる最大の水蒸気量(=飽和空気時の水蒸気量)の比を単位「%RH(Relative Humidity)」で表したものである。100%RHになると、それ以上その空気は水蒸気を含むことができなくなる。
一方「絶対湿度」は、ある空気に実際に含まれている水蒸気の量そのものを指し、乾燥した乾き空気1kgに対する量として単位「kg/kg」で表される。天気予報などで普段目にする%表記の湿度は「相対湿度」であり、一般的に湿度とは「相対湿度」を指す場合が多い。
そして「相対湿度」は、室温が上がると下がる。空気は暖めると膨張し、より多くの水蒸気を含むことができるようになるが、水蒸気の量そのものに変化はない(=絶対湿度の値は変わらない)。つまり、相対的に空気中の水分量が減ってしまうのである。冬に暖房をつけると部屋が乾燥するのはそのためで、乾燥を防ぐには加湿する(湿度を上げる)必要がある。
湿度を保つとなぜ感染症の予防に有効なのか
人間の鼻やのどには外部からの異物侵入を防ぐための粘膜が備わっているが、空気が乾燥するとこの粘膜の機能が弱まってしまう。湿度を上げることで粘膜を保護し、ウイルスが体内に侵入するのを防ぐ機能を維持する必要がある。
また、空気が乾燥するとエアロゾル(咳やくしゃみをした時に出る飛沫から水分が蒸発してできた粒子)が空間内に浮遊し、感染の原因となりやすい。
相対的に湿度が下がると机や地面に落下する大きな飛沫の量が減り、空気中で急速に蒸発したエアロゾルが空中に浮遊する量が増えることも判明している。特に相対湿度が30%以下になるとエアロゾル化しやすい傾向にあったとのことだ。
つまり室内を加湿して飛沫の蒸発を防ぐことが、ウイルスを含んだエアロゾルを吸い込む可能性を低くすることも感染症予防として重要となるだろう。
終わりに
ここ数年で、加湿器は健康で衛生的な生活を送るために欠かせない機器となった。新型コロナウイルスの猛威が続く中、湿度のコントロールはますます重要になっていくだろう。本稿が湿度に関する基礎的な知識の習得に役立てば幸いである。
ウエットマスター株式会社 渡辺 剛史 氏による寄稿からまとめました。
※詳細は、『月刊スクールアメニティ』8月号P46~P48をご覧ください。
過去のスクールニュース → http://www.schoolnews.jp/category/schoolnews/
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