スクールニュース Vol.648
月刊スクールアメニティ編集部 木造伝統文化財を残す再生。東京都港区立の最新学校施設(芝浜小学校)の近くに、昭和初期創建された芝浦花柳界の見番が再生「東京都港区立伝統文化交流館」(旧協働会館)
東京都港区立芝浜小学校の近代的9階建て校舎(今後、本誌で掲載予定)を取材した際、大型木造建築「港区立伝統文化交流館」が再生したことを思い出し見学した。
この「港区立伝統文化交流館」は、昭和初期創建され、当時の伝統、文化を、今に伝承する貴重な木造建築物である。同施設は、港区指定有形文化財で、「旧協働会館」を保存・活用して、様々な伝統文化・地域の文化に関する事業を行うことにより、伝統や文化を次世代に継承する施設だ。
同施設のある芝浦(現JR山手線田町駅芝浦口側一帯)は、江戸花街の一つでもあった。この芝浦地区にあった旧協働会館は1936(昭和11)年に芝浦花街の見番として建設され、東京都内に現存する唯一の木造見番建造物である。戦後になってからは、東京都の港湾労働者の宿泊所として使用されていたが、2000(平成12)年3月、施設が著しく老朽化したことによって閉鎖された。しかし、こうした伝統施設を保存・活用を望む地域の人びとの声を受け、港区は保存整備工事を進め、2019(令和元)年12月に竣工した。2020(令和2)年4月から公開したが、新型コロナウイルス感染症対策のため公開と同時に休館を余儀なくされていたが、現在は、制限付きで公開されている。
同伝統文化交流館は、木造で築後80年以上経過の延床面積約550㎡の建物を再生した。その再生手法は、「リファイング建築」という再生手法で数々の建築物を甦らせている青木茂建築工房によるもので、大半の部位、部材を生かし建築基準法適合の新しい公共建築に生まれ変わった。周辺の再開発地区の景観からは、全体として不釣り合いにも感じるが、まさに周辺環境に負けない堂々たる日本伝統の宮大工建築様式といってもよいであろう。また、往時の花街の賑わいを彷彿させる建物でもあろう。建物の内部は、見番当時の趣きが多くの箇所に残る。2階の大広間は100畳の広さで、畳敷きが70畳、舞台が30畳あり「百畳敷」と呼ばれていたとも云われたとのことだ。さながら芝浦芸妓の本格的な稽古場でもあった。
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