スクールニュース vol.273
編集部から 体験をつなげる(つくし野ビオトーププロジェクトシーズンXII 6月)
「想像していない」を体験する
6月3日、つくし野ビオトーププロジェクトはプール開きを目前にした町田市立つくし野小学校に集合した。清掃前のプールからヤゴを救出し、トンボに羽化する様子を観察するためだ。
ところがプロジェクトは、当日の朝になってプールの水がすべて流されていることを知る衝撃から1日がスタートしていた。どんなに目を凝らしてもプールは底しか見えない「まさか」の事態に、子どもたちも濡れる覚悟のお父さんもちょっとびっくり。
で、どうしたか…
初期のプロジェクトでは、グラウンドの一角、校舎の手前にあるコンクリート製のトンボ池を自然に近づけようと、生態調査や水質検査の結果を近くの川と比べる活動をしていた(過去のプロジェクトブログ参照)。12年が経ち、今では逆にコンクリート製とは思えない環境になっている。そこで、プロジェクトリーダーの小池常雄さん(環境カウンセラー)は、集まった子どもたちにこのトンボ池の生態調査をすると話す。プールに比べれば狭く小さいが、自然をつくろうとしていた環境は、ヤゴしかいないプールと比べ、生態系として生きものの種類は多い、はずだからだ。
池に行く前、ヤゴ(トンボ)について学んだ。活動を支援している保護者がヤゴを羽化させる方法について体験を交えて紹介し、毎回参加している児童がヤゴについて読み聞かせを行った。どちらも急遽追加されたスペシャル企画(ヤゴを羽化させる方法はこれまで小池リーダーが説明していた)で、読み聞かせを聞く子どもたちは次第に前に乗り出すように聞き入っていた。
トンボ池には、オタマジャクシやメダカのほか、イモリ(幼体)なども生きていた。事前にヤゴの羽化についてあえて説明したのは、オタマジャクシがカエルへと成長する過程に関心を持ってもらいたいという思いも込められていたと考える。捕まえた生きものは、どれも小さなものばかり。そこで、池から戻った子どもたちは、用意してあった実体顕微鏡を自分で使って観察したり、小池リーダーが撮った写真をみたりして、池に対する理解を深める一日となった。
今回は高学年児童の参加もあって人数も多く、トンボ池での活動は少々窮屈にみえた。小池氏に畑の活動に切り替えることは考えなかったのか聞いたところ(実際、水やりなどは毎週末行っている)、プログラムの案内を出し、その内容をみて参加してくれる以上、最低限水の活動から逸脱することはできないとのことだった。長くやっていればいろいろなことがあるとはいうものの、さすがにこれは初めてとのこと。誰もが「想像していない1日」の体験だった。
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