スクールニュース vol.310 編集部から 体験の受け止め方・感じ方(つくし野ビオトーププロジェクトシーズンXII 11月)
「都市に住む子ども達に自然体験の機会を…」と地域住民によってプログラムが提供されているつくし野ビオトーププロジェクトは、11月の定例活動「サツマイモを掘ろう!」を1日遅れの11月19日(日曜日)に実施した。
そういえばと記録をさかのぼると、昨年の11月も翌日に延期していた。このときは金曜日の夜からスタッフが雨除けのブルーシートをかけていた。しかし、掘り進めるうちに土が踏み固められ、子どもも大人も悪戦苦闘。芋掘りの光景として思い浮かぶ“引っ張り上げたらイモヅル式のサツマイモ”は夢。1つひとつ周囲から掘り進めていた。
…振り返るには少し早いが、このシーズンⅫはいろいろなことが起きるシーズンでもある。
プロジェクトリーダーの小池常雄さん(環境カウンセラー)はいつも「自然を相手にしているといろいろなことがある」と口にするが、体験を提供する側は“うまくいく体験”をしてもらいたいと考え、準備する。子どもに体験させたいと考える保護者も同じで、これは誰でも当然のことだ。
本ニュースでプロジェクトを追うようになって4シーズン目、両者の思いは実現しているだろうが、このシーズンは、外から見ていて「あれ?」と思うこともしばしばである。
この日でいえば、例えば収穫に入る前、小池さんはサツマイモが土の中でどのように実っているのか、ビニール袋で育てたサツマイモで見せようとしたが、土をかき分けてもイモが出てこない。ここでみんなの口から「あれ?」。
サツマイモのツルは伸び大きな葉をつけているのだが…。それを見ていたプロジェクトの農業指導をする顧問の中村一幸さんが「ツルボケだね」と解説。肥料のやり方でこうなってしまうこともあるらしい。「こうなることもある」と、失敗を学びの糧にできる体験的環境学習ならではの場面ともいえる。
5月に植えた苗は、ベニアズマとムラサキイモに安納芋の3種類で、安納芋は昨年とあまり変わらないが、他は全体的にやや小ぶりに見えた(参加した各家庭が持ち帰るに十分な量はあったが)。畑でもツルボケを引き当てた子ども達は悔しがるが、これが初めての収穫体験の子と昨年も体験している子では受け止め方も違うのだろうかと、夢中になって掘る子ども達の姿を見ながら思ったことだ。
昨年同様子どもは半数以上が未就学児。小池さんが「5月の植えるときにも来てくれた人」と呼びかければおよそ1/3が反応。5月と比べればおよそ1.5倍の参加者だから、半数くらいはサツマイモの最初と最後を体験したといえる。
収穫量が十分あったとみれば、楽しい体験になったと思う。しかし、昨年と比べるとどうだったか、来年の収穫を今年と比べるとどうなるか、そしてなぜ違いが生まれ、もっと良くすることもできるのか。言い続けるのは、慣れ(飽き)につながってしまうかもしれないが、体験を通した気付きが1人ひとりの成長につながってくれればと思う。
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