スクールニュース vol.351 編集部から
環境を活かすトンボと学ぶヒト(つくし野ビオトーププロジェクト2018年6月)
6月に入ると東京は天気がよく変わった。関東地方は梅雨入りの発表が6月6日。以降はお出かけ前のお天気チェックが欠かせなくなり、朝と夜の空模様が異なることもあたりまえ。それがいい、悪いという事柄ではないが、手荷物が増えるのはあまり嬉しくない。
梅雨入りから3日後となる9日土曜日の午後。雨は降らない、光は感じるので暑い、でも青空は望めない…そんな天候の中、総勢76人もの子どもとその保護者が「プールのヤゴ救出大作戦!」の控える町田市立つくし野小学校の視聴覚室に集まった。つくし野ビオトーププロジェクト2018年度3回目の定例活動である。
水泳の授業の場である学校のプールは、時と場所によっては体験活動の場ともなる。この日の活動はその好例ともいえるのではないか。プール開き直前のこの時期、冬を越して春を迎えた清掃前のプールには、昨秋産み付けられた卵からヤゴが誕生、トンボになる寸前まで成長をしている。その数は千匹単位。これは、学校のプールがトンボ(ヤゴ)にとって都合のいい環境であるためだか、このまま学校がプールの授業のために清掃を始めてしまえば、飛べないヤゴはすべて下水に流されてしまう。
そんな事態を避けるため、ヤゴを「救出」してさらにはトンボに…というのがこのプロジェクトのねらい。「採る」のではなく、「救う」のだと小池常雄プロジェクトリーダー(環境カウンセラー)は強調し、まず、学校のプールがなぜヤゴ(トンボ)にとっていい環境なのか、にもかかわらずトンボにならないのはどうしてなのか、集まった子どもに説明する。
その後、プールに移動して救出作戦開始。事前に小学校と連絡をとって、プールは危険がないよう子どものひざ下程度まで水を抜いてある。また、同校の3年生も既に救出を行ったという。それでも、サンダルに履き替えた子どもと一部の保護者(特にお父さん)がすくう網にはヤゴの姿が確認でき、「ヤゴいた!」という大きな声や「(ヤゴは)プールの底にいるから(網は)底までおろす!」など、いろんな声があちこちから聞こえてくる。
熱中症に気を付けながら休憩を挟み、その間、保護者の協力で救出した命の数も数え、およそ1時間余り。今年は1,763の命を救出した。これまで、プロジェクトではアカトンボの仲間、イトトンボの仲間、シオカラトンボの仲間、ヤンマの仲間の4種類のヤゴを救出してきた。年によってその傾向は異なり、今年はほぼアカトンボ(+ギンヤンマ1匹)。ここから希望する子どもたちは10匹程度を持ち帰って、トンボにかえす。そのトンボがつくし野小学校のプールで産卵を…と、営みは繰り返されていく。
7月は身体いっぱいで自然を感じる里山の活動、そしてこのプロジェクトの原点ともいうべき、カブトムシ相撲が予定されている。
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