スクールニュース vol.519
第14回キッズデザイン賞を取材して
経済産業大臣賞に、魚津市立星の杜小学校を教材にした『木造校舎を使った木育カリキュラムの実践』が選ばれる
9月30日、キッズデザイン賞の記者発表会と表彰式が、六本木ヒルズ49階「アカデミーヒルズ49」で開催された。今年は、新型コロナウィルス感染症対策のため来場者の数を限定した開催となったが、オンライン開催も合わせて実施したことで、より多くの人が会場の様子を見ることができるなど、新しい形での発信の場になったといえる。
内閣総理大臣賞
子ども達の心和らぐ全面木質の福祉施設
○まごころ学園(福祉障がい児入所施設)
内閣総理大臣賞には、『まごころ学園(福祉障がい児入所施設)』(福祉型障がい児入所施設 まごころ学園他)が選ばれた。
まごころ学園は、知的障がいや、育児放棄、虐待を受けた子ども達が集まって暮らす「家」である。RC造で管理型が多い福祉施設のあり方に対して、様々な居場所をつくり、木のぬくもりあふれる環境で応えた。1辺54m正方形の木造平屋で、小ぶりな建築を寄せ集め小さな集落をつくり、全面木質の円環構成の中にヒダ状の木質空間を用意し、子ども達の心が和らぐ居場所をつくったものだ。受賞理由でも、「管理型になりがちな施設に、家づくり・コミュニティづくりの視点を採り入れ、様々な居場所をつくり、子ども達が伸び伸びと過ごせる環境を生みだしている。お気に入りの居場所を見つけることで心穏やかに過ごす時間が提供されるという、家族と家のあり方の縮図のような施設であり、ここで育つ子ども達の良い思い出となるような、子どもが主役という関係者の思いが建築に見事に表現されている」と非常に高い評価を受けた。
経済産業大臣賞
○ ファーストシェービングシリーズ
○ BALMUDA The Pure
○ 木造校舎を使った木育カリキュラムの実践
○ひより保育園食育活動およびツール開発
経済産業大臣賞には、4作品が選ばれた。
その内の一つが『木造校舎を使った木育カリキュラムの実践』((株)東畑建築事務所他)である。 ワークショップの舞台となった魚津市立星の杜小学校(スクールアメニティ2019年8月号掲載)は、文部科学省の「木の学校づくり先導事業」による支援を受け、公立学校として全国で初めて木造3階建てで整備された校舎。近年の学校建築でも非常に注目を集めた学校であり、木の香りと温もりが子ども達を包む魅力溢れる学び舎であり、今回の受賞は、同校の木造校舎そのものを教材として、児童や教職員が主体的に参加した木育カリキュラムの実践である。
選評においても、「子どもと一緒に学校をつくり、教育をつくるという独創的かつ意欲的な試みである。様々な専門家が連携し、地域のシンボル的存在の木造校舎を学びの拠点としているが、他の地域でも多様なテーマでの展開を期待させる秀逸なモデルである。最も重要な点は、この活動を通じて地域の活性化を図り、地域の技術や資源の学びとなること。それが地域への愛着心、誇りも醸成させる。継続的な取組みとして活動を維持している点も優れている」と大変高い評価を得た。
他にも、子ども達にやさしい作品が多く受賞している。
キッズデザイン協議会会長賞を受賞した(株)ジャクエツの『プティトワレ』は、人間工学的アプローチを採用した幼児施設用トイレ。便座形状を前傾させることで、座るだけで自然と排泄しやすい姿勢がとれるスタイルを実現。子ども用トイレを、衛生・排泄・意匠の3方向から考え抜いた作品である。
また、BXテンパル(株)の『スライドキャンバス ソラカゼ』は、強い日差しから子ども達を守る日除け用キャンバス。昨今、保育現場でも深刻な課題となっている熱中症に対応する製品だ。砂場やプール、園庭、中庭など、園内に点在する屋外スペースに日陰をつくり、子ども達を守ってくれる。操作ロープを引っ張るだけで簡単に開閉できる扱いやすさも、保育のニーズに応える特性といえるだろう。
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