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Posted on 2021年11月26金 in スクールニュース

スクールニュース vol.600

 

北海道最初の円形校舎を訪ねる-北海道石狩市立旧石狩小学校円形校舎を見て

前々から機会があれば円形校舎を見てみたいと思っていた。円形校舎は、1955年代から急激に、全国的に設置されたという。校舎建築への導入は、建物のその経済性、合理性から全国的に普及が見られた。今回は、以前から北海道の学校取材では訪ねてみたかった「石狩市立旧石狩小学校」を見学した。

正面から望む円形校舎全景

正面から望む円形校舎全景

札幌市の北部に広がり日本海(石狩湾)にも面する石狩市。同市立石狩小学校は、2019年市内八幡地区の八幡小学校と統合され、現在、八幡小学校の校舎を使用して統合新校が開校している。石狩小学校は、北海道内で最も長い歴史を持つ「石狩教育所」から連綿と続く、道内屈指の歴史を誇る小学校であった。石狩小学校と八幡小学校の統合は、両地区の少子化に伴う児童数の減少や、石狩小学校の校舎老朽化に伴い2019年同校が閉校となり、八幡小学校に統合されることとなった。そのため、旧石狩小学校の校舎活用を検討する「石狩小学校校舎利活用検討委員会」が発足。検討の結果、これまで石狩地区の歴史や自然に関して、「砂丘の資料館」で展示してきたが、必ずしも十分なスペースが確保されていなかったため、これからは「石小利活用施設」と「いしかり砂丘の風資料館」2館を分担して、石狩地区の多様な歴史と自然を伝承する施設とすることにした。
円形校舎は旧石狩小学校のシンボルであり、石小利活用施設最大のアピールポイントだ。円形校舎に基本的に展示機能のすべてを集約し、各室を活用して石狩の歴史や自然をテーマにする展示を行う。展示は、円形校舎の歴史や特徴的円形校舎の解説などを中心に、同市学校の学校史、旧石狩町(石狩市)、樺太アイヌの歴史、文化などの展示など河川、植物、農業開拓などの歴史や自然遺産の継承などの企画展示も行う場。

1階ホール。両サイドに2階への階段

1階ホール。両サイドに2階への階段

旧石狩小学校の円形校舎は、1955年当時同町内の学校は全て木造建築であったにもかかわらず、鉄筋コンクリート造であり、同町内初の水道(簡易水道)が整備されたという。2階ホール天井には、屋上から採光するためのガラスがはめ込めてあるから、今でいうトップライト、ハイサイドライトなどに、類似する建築技術であったであろう。当時の石狩小学校の教員、児童、地域の人びとにとっては、北海道内でも数少ない円形校舎に誇りをもっていたとのことだ(いしかり砂丘の風資料館 学芸員 工藤義衛氏談)。通学区域の本町地区の地域の人びとからは親しみを込めて「缶詰校舎」と呼ばれていたとのこと。さらに屋上からは石狩平野の一部など北海道の風景も遠望できる。

扇状の普通教室。黒板から窓に向かって扇状に広がる

扇状の普通教室。黒板から窓に向かって扇状に広がる

現在、道内に残る円形校舎は、室蘭市、美唄市、小樽市、函館市、幌加内町などに残っているが、ほとんど見学も使用不可の中、旧石狩小学校円形校舎は、同市学芸員、市職員の同行で見学は可能であるので、興味のある方は、ぜひお問い合わせしてみたらどうだろう。

出典参考: 旧石狩小学校円形校舎パンフレット
問い合わせ:いしかり砂丘の風資料館 TEL.0133-62-3711

 

 

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