スクールニュース Vol.647
文部科学省 「水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進に向けて」中間報告を公表
6月14日(火)、文部科学省は、「水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進に向けて」の中間報告を公表した。
近年、日本全国で豪雨等の水害が激甚化、頻発している。学校施設においても、2018年7月豪雨では校舎や屋内運動への浸水被害など物的被害が667校にも上り、その後長期の休校によって学校教育活動の早期再開に支障を来すケースもあるなど、大きな被害が生じている。このような状況を踏まえて、文部科学省は、学校施設における水害対策の取組み推進のため有識者会議「学校施設等の防災・減災対策の推進に関する調査研究協力者会議」(主査:中埜良昭 東京大学生産技術研究所教授)を設置。同会議にて、学校施設の水害対策の基本的な考え方について検討を重ね、中間報告として取りまとめた。
なお、2021年6月の「浸水想定区域・土砂災害警戒区域に立地する学校に関する調査」においては、浸水想定区域に立地し要配慮者利用施設として位置づけられた公立学校のうち、学校施設内への浸水対策を実施している学校は、約15%であったことが明らかになっている。
中間報告では、「学校施設の水害対策の基本的な視点」、「学校施設の水害対策の検討の枠組み」等について提言。学校施設の水害対策の基本的な視点のポイントとして、以下の3つがあげられた。
〇学校教育上、果たすべき役割を第一に置きつつ、災害時には避難所となるなどの地域防災上の役割にも留意して水害対策を検討すること。
〇浸水対策を検討する際には、想定最大規模の浸水想定だけを対象とするのではなく、より発生確率の高い浸水想定にも着目した上で、浸水深等を多段階に設定し、事前避難等のソフト面と施設整備によるハード面の両面から水害対策を検討・実施すること。
〇浸水想定などハザード情報把握等については、教育委員会等の学校設置者のみの対応では困難が想定されることから、教育委員会と治水担当部局、防災担当部局等の関係部局との連携体制を構築すること。
また、学校施設の水害対策の検討の枠組みについてのポイントは以下の通りである。
〇治水担当部局等の協力を得て、域内のハザード情報(想定浸水深、発生確率等)を把握すること。その際、想定最大規模の降雨による浸水想定だけでなく、より発生確率の高い浸水想定(10年に1回)などについても情報を整理すること。
〇人的被害、社会的損失、経済的損失など、学校施設の脆弱性を踏まえ、想定される浸水の頻度・浸水深等から、域内の学校施設の水害対策の方向性・優先度を検討すること。
〇対策目標(緊急時の幼児児童生徒等の安全確保、学校教育活動の早期再開など)ごとに多段階に対象とする浸水深等を設定し、個々の学校施設の対策内容を検討すること。
文部科学省では、教育委員会と、治水担当部局、防災部局等との連携体制の強化を要請する事務連絡を関係省庁と連携して発出。2022年度末を目途としている最終報告において、中間報告の内容を踏まえ、具体的な事例を取り上げながら、水害対策を進める際の具体的な対策の手順等を示した手引きを策定し、引き続き、学校施設の水害対策に係る取組に対する財政支援を行っていく。
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