月刊スクールアメニティ・技術リポート
リニューアルによって、再生した可動屋根システム。開閉構造屋根について/角藤 可動建築部
企業ニュース vol.90
学校水泳プールなどの開閉屋根構造システムは、水泳プールの利用率を上げる技術だ。学校水泳プールについては、学校運動施設の中で利用期間が短く、通常夏期の3カ月程度の活用に止まっていた。こうした不効率を改善するために開発されたのが、水泳プールの全天候型屋根開閉システム技術である。同システムが普及したことで、水泳プールの利用効率が格段に高まった他、近年では、脱炭素、換気面からコロナなど感染対策からも評価されている。
月刊スクールアメニティ2023年5月号で掲載されている「東京都立七生特別支援学校」の屋上水泳プールに、可動屋根システムが導入設置されたのは約29年前(1994年)だった。そのため、可動屋根システムに若干の劣化が見られてきたこともあり、校舎のリニューアルに合わせて再生することになった。
導入の効果は、特に4点である。
1.太陽光による冷水プールの温水化
2.自然換気によるプール室温の調整
3.悪天時でも授業の実施可能化
4.利用期間延長
今回の可動屋根の改修でも、当初より期待された効果を発揮し、29年間の実績が評価されたことから、施設整備リニューアル再生工事の担当をすることになった。

整備・改修の第1の要点は、可動屋根システムの性能面で影響が大きい、『ポリカーボネートの経年変化による表面のくすみ、透明度の回復化』で、今回はガラス仕様を採用した。
第2の要点は、車輪・モーター・安全装置・制御装置など可動部分の機械装置の整備である。機械装置はプール脇特有の多湿な環境にさらされ続けており、特に冬季期間はプールを使用しないため機械が作動する機会も無く、機械設備にとっては厳しい条件下となる。しかし、そのため、いつでも正常に可動するようレールの点検・車輪への給油・錆の有無・各所ボルト等の緩み確認・モーターの絶縁抵抗値の測定及び動作確認など専門技術者により各所の整備を行なった。
今後故障や不具合が生じることなく正常可動を維持するには定期的な点検、補修、調整、給油などのメンテナンスは欠かせない。特に機械の「錆」は進行度合いによって多額の費用発生や対応が困難になるケースがあり、快適に、安全安心に長く利用するためにも年1回の定期点検の継続実施が不可欠で推奨される。
「可動屋根システム」は、カーボンニュートラルはじめ、社会的課題の解決に貢献できる技術としても有効な施設である。今後も特別支援学校施設のみに留まらず、幅広い施設に応用されていくことに力を尽くしたい。
■お問い合わせ
(株)角藤 可動建築部
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町1-4-3 神田スクエアフロント8F
TEL:03-5217-1227 FAX:03-5217-1212
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