スクールニュース Vol.657
月刊スクールアメニティ編集部 学校の多目的トイレ(バリアフリートイレ)の話
国土交通省は、バリアフリー法を2020年5月改正を行い、2021年4月から施行された。その中で公共トイレの案内表示に関する項目を新たに追加。これまでの「多機能」「多目的」などの名称を変えることを求めた。
それまでの、「多機能トイレ」「多目的トイレ」の名称で普及した公共トイレは、本来の主な使用者である高齢者、車椅子使用などハンディキャップの方々、親子の方などが利用すべきであったが、一般の人々などが長時間占有、喫煙場、中では居所とするなど、目的外の使用が多く発生したことや、他の普通トイレを使用可能な人が、多く使用するケースが報告された。そのため、こうした問題の解決策として、多機能トイレ、多目的トイレの本来の目的をはっきりさせるため、名称を「バリアフリートイレ」に変更することになった。
名称について云えば、学校施設のトイレは現状として、公立小中学校の全便器数は約136万個あり、うち洋便器数は約77万個、洋便器率は57.0%。和便器数は約58万個、和便器率は43.0%(文部科学省2020年調査)となっており、前回調査から洋便器が和便器を上回った。本ニュースでは、洋便器、和便器の是非については後日に回すことにしたい。
では、学校施設の多目的トイレについて考えてみる。現在、当社で取材した学校施設の多目的トイレについては、公共トイレの名称である「バリアフリートイレ」としているものは見当たらないのが現状であると云っていいと思う。最近の新増改築校、長寿命化改修校などには、1階のみの設置であったり、各階に設けられたりと、設置状況は多様であるが、必ず校内に「多目的トイレ」が設置されるようになってきた。しかし、名称についてはほとんどが多目的トイレになっているようだ。
学校の多目的トイレも公共施設であることは確かなのだから、私自身は「バリアフリートイレ」という統一した呼称にした方が、社会の「バリアフリー環境」を教育、学習面から促す意味でも必要であろう。また通級児童生徒の増加対応としても学校の「多目的トイレ」の整備は重要である。さらに、学校施設は、災害時の緊急避難所機能の地域インフラとしての機能を担っている。学校施設の多用途トイレも、「多目的トイレ」「バリアフリートイレ」のいずれの名称であれ、使用目的が同じなら統一したらよいのではないか。しかし、まだまだこうしたトイレは、学校に必要不可欠の施設整備であることは間違いない。子ども達バリアフリー環境への意識改革からも中途半端な名称ではなく、明確にすべきではないだろうか。
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